2014年09月16日

【装備考察】 EGB降下猟兵

EGBについてチョロチョロっと……私も詳しくないのですが今まで調べてきたことを備忘録程度にまとめてみます。


まず「EGBって何だよ」という哲学から……


【装備考察】 EGB降下猟兵
ILÜでのEGB兵士



普段は単に「EGB=Erweiterter Grundbefähigung 」と呼ばれているこの用語、あえて日本語に訳すと「拡張基本資格」。

EGBとは資格を指していたわけです。


で、この資格をもった兵士たちで構成される枠組みが、

Spezialisierte Kräfte des Heeres mit Erweiterter Grundbefähigung für Spezielle Operationen(SpezlKrH EGB)

と呼ばれます。


頭に「Spezialisierte Kräfte」とありますがこれはKSKのような「Spezial Kräfte(特殊部隊)」を示す用語ではありません。


あえて訳すなら「特殊部隊」、意訳すると「準特殊部隊」でしょうか?


ここでは「SpezlKrH EGB」を「特殊作戦従事ための拡張基本資格を備えた準特殊部隊」と訳して位置づけを行ってみましょう。


ここから逆に考えると「EGB=拡張基本資格」が(漠然と)特殊作戦向けの資格であることが分かります。


準特殊部隊という点を加味すると歩兵部隊と特殊部隊とのギャップを埋めるための資格、ということになるでしょうか。

そういったことから米軍の第75レンジャー連隊、英軍のSFSGを引き合いに説明されることがあります。

(BW自体もEGBをレンジャーと呼んでアピールすることが度々あります)


【装備考察】 EGB降下猟兵
第263降下猟兵中隊第3中隊(EGB中隊)のMungo。兵科記号(R)からレンジャー型部隊に分類されていることが分かります。



EGB候補は全軍から募集されます。候補の中から選抜された者は「パイプライン」と呼ばれるEGB養成訓練に進み、コンバットレディまで7か月(9か月とも)の時間をかけて下記の訓練を受けます(実際には十分に訓練されるまで数年を要するとのこと)。

・「教養意識とテロリズム(Cultural awareness and Terrorism)」
・「特殊作戦部隊向け近接戦闘(Nahkampf für Spez Kr H)」
・「特殊作戦部隊向け射撃法(Schießtechnik für Spez Kr H)」
・「戦闘射撃教練(Gefechtsdrilschießen)」
・「市街地攻撃戦術(Urbane Angriffstaktik)」
・「リーダー向け任務計画法(Mission planning für Führungspersonel)」
・「Combat First Responder A」
・「水路侵入(Water Infiltration Course)」
・「パトロール(Patrolloing)」
・「SERE Level C」
(survival-, evasion-, resistance- and escape-training: サバイバル、対尋問および脱出訓練。レベルCは収容所での抵抗に重点を置いた最もハードなもの)
・「CAC」不明
・「Operation Planning Taskforce mit Einweisung Spezialoperationen」

パイプラインには含まれないと思いますが、

・「Einzelkämpfer Lehrgang1, 2」(必要に応じて)
・「Combat First Responder B, C」(必要に応じて)

等のスキルも備えられるようです。

(これらの翻訳はかなりデタラメです……)

「パイプライン」はプフレンドルフの特殊作戦訓練センター(AusbZSpezlOp)で行われるようです。




EGB兵士によって構成される部隊として代表的なものは降下猟兵大隊のEGB中隊です。

各降下猟兵大隊のうちの1個中隊がEGB中隊として置かれています。

・第261降下猟兵大隊:第3中隊「アリバ・プーマ」
・第263降下猟兵大隊:第3中隊「ネメシス」
・第313降下猟兵大隊:第2中隊「???」
・第373降下猟兵大隊:第4中隊「???」

EGB中隊は2個小隊と1つの訓練小隊を持つとの情報もありましたが詳細は不明。


これら降下猟兵EGB中隊はパスファインダー(FschSpezZg)などの限定的な任務を行う部隊と比較して非常に「特殊部隊的」であり
DA= Direct Action、
SR= Special Reconnaissance、
NEO= Non-combatant Evacuation Operations、
HR= Hostage Rescue、
CT= Counter-Terrorism
と言った要素を持っています。


【装備考察】 EGB降下猟兵
ムンスターでのダイレクトアクション訓練(2013)


EGBと言った場合多くはこの降下猟兵のEGB中隊を指すことが多いようですが、山岳猟兵(山岳偵察大隊の高所斥候小隊)や空挺偵察中隊のFeldnachrichten小隊、JFST、DSO/DSKの衛生部隊ほか様々な部隊にもEGB資格保持者が在籍するようです。

EGB LLPio(空挺工兵)、EGB Fm(通信)、EGB Ustg(兵站)、EGB LEKE(電子偵察)などは小隊/中隊規模での(KSKの任務をサポートするような)特殊作戦従事のために訓練されます。



…………………………………………………………………………………………………………


装備考察の記事なのに装備を全く取り扱っていない……のでまた次回に。

私が現在のべられるのはこの程度で、間違った情報が多々混ざっているかもしれません(概念のとらえ方とか…)

EGB事情にお詳しい方々、ご指摘・補足などがありましたらよろしくお願いします。



タグ :EGB

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Posted by Nekotin at 19:19│Comments(0)考察
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