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Posted by ミリタリーブログ at

2019年10月24日

戦車の数え方

昨今なにかと話題に上るドイツ連邦軍の戦車部隊について。

配備数や稼働状況を巡るアレコレはわいとさんのブログでも検証が入りましたね。
リンク:「ドイツ連邦軍の戦車稼働状況ファクトチェック」


流行に便乗ってもんでもないですが参考程度に現連邦軍の戦車大隊の編成について軽く見てみましょう。


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さて現在(19年10月)のアクティブな戦車大隊は次の4個です。

・第93戦車教導大隊 (第9戦車教導旅団)
・第104戦車大隊 (第12戦車旅団)
・第203戦車大隊 (第21戦車旅団)
・第393戦車大隊 (第37装甲擲弾兵旅団)



陸軍のざっくりした編成に戦車大隊の立ち位置を入れるとこんな感じ。
(新設される第363戦車大隊は第10装甲師団下に入る予定)


連邦陸軍のすべての戦車旅団および2個ある装甲擲弾旅団のうち1個に戦車大隊が置かれていることになります。第41装甲擲弾兵旅団だけは機甲戦力であるにもかかわらず戦車大隊を持っていません。
(※かつては戦車旅団に2個戦車大隊と1個装甲擲弾兵大隊、装甲擲弾兵旅団には1個戦車大隊と2個装甲擲弾兵大隊が所属するといった形で概ね大隊数の比率で旅団の性質が決められていた様子ですが、現在では編成が変則的になりこうした旅団の定義は崩れています)


オランダ軍第43装甲旅団隷下の第414戦車大隊を含めると5個大隊ということになりますが、この大隊はドイツ・オランダの混成で第2中隊と第3中隊をドイツ軍から、第4中隊をオランダ軍から充当しています。
(第2中隊は第93戦車教導大隊の第5中隊から、第3中隊は第203戦車大隊の第5中隊から改編)
ちなみにこの第43装甲旅団(オランダ)は上図からも分かる通り第1装甲師団(ドイツ)に従属する形となっています(運用上はドイツ・オランダ軍団に参加)。ややこしいですね。

予備戦力の第8山岳戦車大隊を元に第363戦車大隊を新設する動きもありますので、最終的には5個大隊(+2個中隊)といえるでしょう。
(BWの公的なソースでは6個大隊と表現していることが多いようですが)



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現在の大隊編成からレオパルト2の台数を見てみましょう。

戦車大隊はいわゆる本管中隊である第1中隊と戦車中隊である第2、3、4中隊から構成されています(予備として第5中隊もあります)。
1個中隊は3個小隊から構成されており、小隊は4両のレオパルト2を装備しています。加えて中隊本部も2両のレオパルト2を持っているので、中隊における総数は14両ということになります。
3個中隊分の42両に第1中隊所属の2両を加えると大隊における総数は44両になるわけです。
この辺は装甲擲弾兵大隊のマーダーやプーマと同じですね。




車両の側面に書き込まれる3桁の数字もこの編成に基づく識別番号(Turmnummer)です。
「220」であれば第2中隊第2小隊の0号車ということになります。
第1中隊の車両は「0」から始まる「001」と「002」となるようですが、頭が「1」でないということは大隊直属というニュアンスなのかも。

ちなみにこのTurmnummerにも中隊色の法則が割り当てられていることがあります。



厳密に定められているルールではないので部隊によって振れがありそう。PzBtl203で「302」ってのも見ましたし。
この辺りは模型分野の人の方が強そうですよね。


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オランダ軍部隊を含む第414戦車大隊については、どうもオランダの第4中隊の編成が「4個小隊×4両」らしいため車両の総数が他と異なるようです。
参照元によって48両であったり49両であったりとイマイチ不確定なのですが、オランダの戦車中隊を18両と考えると48両が妥当じゃないでしょうか。
(オランダ軍は2011年に戦車を「全廃」しており、この戦車大隊のために新たにレオパルト2を調達しなおしています。そのためオランダ軍の戦車保有数=第4中隊の配備数なのですが、この辺も資料によって16両だったり18両だったり不安定です)



わいとさんのブログにピックアップされた「Augen geradeaus」による176両という数字が44両×4個大隊を示すものなのかどうかニュアンスがうまくつかみ取れませんが、2018年当時の予備戦力を除く全4個大隊にはちゃんと定数分のレオパルト2が割り当てられており「利用可能」な状態にあったと述べることはできそうです。まぁこの場合の「利用可能」は単に「配備されている」という意味なのかもしれませんが。
(まさか立ち上げ途中の第414戦車大隊を「非稼働」と見なして計算に含めているわけではないでしょう)

個人的には配備数の6割に相当する105両が作戦可能な状態(einsatzbereit)であればそこそこのレベルじゃないかと思います。


実際の運用に際していえばeFP BGやVJTFなどNATOの即戦力に指定されている部隊に優先して予備部品が供給・在庫されますので、結果的に部隊ごとの稼働率には少なくない差が出るものと思われます。
各部隊ごとの稼働率も気になるところではありますが……



予備車両の考え方や稼働率の厳密な定義など、もっと明確にできればまた新たな発見があるのでしょうが、今回はあくまで戦車大隊における単純な戦車の数え方ということでご容赦ください。



Tschüs!!  

Posted by Nekotin at 22:52Comments(0)編成とか