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Posted by ミリタリーブログ at

2019年03月24日

色々な色


今回はドイツ連邦軍内部で伝統的に用いられる「識別色」について。

ドイツ連邦軍には兵科色とは別に部隊を識別するための色が割り当てられています。
古くはプロイセン時代から用いられる特定の色の並びで、連邦軍においては部隊章などで見ることが出来ます。



・旅団における識別色

最も分かりやすいのは旅団に割り当てられる3つの色でしょう。
連邦軍の師団は原則3個旅団から形成されており、東西統一後には東側由来の2個師団を合わせた14個の師団に、合計で42個旅団が存在していました。(国土防衛旅団など予備役部隊を除く)
第1師団には第1~3旅団が、第2師団には第4~6旅団がといった具合に連番で採番されているわけですね。
第8師団に相当する第1山岳師団には第22~24旅団が、第9師団に相当する第1空挺師団には第25~27旅団が属していました。

識別色は師団ごとに、

 1番目の旅団:白
 2番目の旅団:赤
 3番目の旅団:黄

となっております。


空挺師団を例にするとこんな感じ。色によって何番目の部隊か分かるようになっています。




・中隊における識別色

中隊レベルですとKompaniefarben(中隊色)と呼ばれ、次のように色が増えます。

 第1中隊:白
 第2中隊:赤
 第3中隊:黄
 第4中隊:青
 第5中隊:緑
 第6中隊:茶もしくは黒





中隊の識別色がどんなところで見られるかというと、例えば装甲擲弾兵大隊では各中隊の中隊長と中隊付軍曹が中隊色の肩紐を身に付けます。
上の画像は第122装甲擲弾兵大隊(PzGrenBtl122)の第2中隊の中隊長(左)と中隊付軍曹(右)です。
左肩に付いている肩紐が赤色であることから第2中隊であることが分かります。
(中隊付軍曹が右肩に付けているのはその役割を示すための中隊付軍曹用肩紐)






こちらは第411装甲擲弾兵大隊(PzGrenBtl411)の第2中隊。同じく赤色の肩紐です。






ふたたびPzGrenBtl122から第2中隊と第3中隊。






戦車大隊から転換したばかりの第33装甲擲弾兵大隊(PzGrenBtl33)もこの文化を取り入れたようです。第4中隊の青色です。









装甲擲弾兵から打って変わってDFB(独仏旅団)の第292猟兵大隊(JgBtl292)から。左肩の三角巾(Schultertücher)が識別色になっています。
これは仏軍との連携を示しており、連邦軍ではJgBtl292にのみ許されているもの。
この辺の詳細はDFBに詳しい方がそのうち説明してくれると思います。







同じくJgBtl292の第2中隊から。中隊付軍曹です。







同じく第3中隊です。
JgBtl292は部隊章にも識別色が分かりやすく取り入れられているので調べてみると面白いです。






同じく第4中隊から。






同じく第5中隊から。
装甲擲弾兵の肩紐とは違って偉い人だけが身につけるというものではなさそうです。






・連隊下の中隊における識別色

連邦軍の大隊ではだいたい5~6個中隊編成、つまり5~6色で済むのですが、10個中隊ある第31降下猟兵連隊(FschJgRgt31)では次のように色が増えます。

 第1中隊:白
 第2中隊:赤
 第3中隊:黄
 第4中隊:青
 第5中隊:緑
 第6中隊:茶
 第7中隊:黒
 第8中隊:灰
 第9中隊:ダークブルー
 第10中隊:ワインレッド ※第10中隊に教育中隊が割り込む形で追い出され、2020年以降は第11中隊と数えられています。


プロイセン時代からの伝統要素として決められているのもやはり5~6色なので、それ以降の色はFschJgRgt31のオリジナルの配色なのかもしれません。
(第26降下猟兵連隊の方はいまいち不明)



FschJgRgt31では正方形のパッチとして部隊識別に役立てている様子(?)
2017年頃から急に見られるようになりました。
26が同じ様式を採用しているとしたら26も混入しちゃているかも。



右上腕に白い正方形パッチの第1中隊。





第2中隊です。EGB中隊(旧2./FschJgBtl313)なのでこのパッチは使っていないのかなと思っていましたが存在しました。





第3中隊です。こちらもEGB中隊なので出てきてびっくり。
関係ないんですが旧3./FschJgBtl373由来と説明されることがありますが、人員的にも部隊章的にも旧4./FschJgBtl373由来と考えるのが妥当かと思います。
ただこうした連邦軍の「遺伝学」は一見なんの関係もない部隊が根幹としてつながっていたりするのではっきり断定できないんですよね。





第4中隊です。所謂バニラな空挺。





第5中隊です。こちらも第4中隊と同じ純粋な空挺部隊。






出てきたので追加。第6中隊は重降下猟兵中隊です。






出てきたので追加。重降下猟兵中隊である第7中隊です。JTAC絡みの面々ですね。





補給や整備を担当する第8中隊です。





第9中隊です。お医者さん達が属している医療中隊ですね。






第10中隊です。「COBRA」、「ZEHNTE 31」などと呼ばれる予備役部隊。
先祖は対戦車部隊で部隊の愛称はCOBRA 810対戦車ミサイルに由来するとかなんとか。





………………………



ドイツの人は色分けが好きなんでしょうか?

部隊統制のために色分けが重要視されていた時代の名残とはいえ、ここまでカラフルな感性をもった軍隊も珍しいのでは。
中隊色に限らずこうした明文化されていない(=中央統制に影響されない)文化的な装飾はなかなかに興味深く思えますね。




Tschüs!!
  

Posted by Nekotin at 15:45Comments(0)編成とか