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Posted by ミリタリーブログ at

2019年08月16日

小隊編成メモ その2 (Fahren, Funken, Feuern 2010)

以前つまみ食い程度に取り上げた書籍「Fahren, Funken, Feuern (2010)」3章からのつづきです。

今回は4章「Gruppe und Zug im Feuerkampf」より、小隊および分隊レベルで運用される代表的な火器について見ていきましょう。
(網羅的にまとめると大変なので気になった部分をかいつまんでいこうと思います)


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Gruppe und Zug Feuerkampf (分隊および小隊における射撃戦闘)

◇射撃戦闘の原則と火器の使い方
原則は次の2つの理由から必要とされる。
・原則を知っている者だけが火器を扱うことができるため。
・敵も同様の原則を知っていると仮定すべきであるため。
(敵の行動が味方にどのような影響を与えるか、敵がどのような選択肢を持っているか理解を得るために役立つ)


また銃撃戦はそれ自体が目的ではなく、
・相手を鎮圧する
・持続的に敵の行動を妨害する
・自隊(味方)を機動させる
ために行われる。



「Feuer und Bewegung (射撃と機動)」の原則は常に適用される。
弾薬は常に「希少品」であるため分隊長は残弾に気を付けなければならない。
戦闘の前、また休止中には火器と弾薬を点検する。
そして誰も「一人で戦わない」ことを確認する。





◇火器の特性
・拳銃
拳銃の役割は曖昧であるが多かれ少なかれ重要である。
プライマリ(主武装)であるライフルが使えなくなったときセカンダリとして、スペース上の問題があるときに近接武器として使用する。
また検問や聞き込み、CIMICなど(ライフルを用いるのが適切でない場合)ではプライマリとして使用する。


・短機関銃
少し前まで短機関銃の必要性は失われていたか、そうでなくとも優先順位はかなり低かった。
アサルトライフルに置き換わるものではなく、通常分隊に割り当てられることはない。
車両乗組員やボディガードなどに用いられる。スペースの無い場所では近接戦闘武器として使われる。
そもそも近接戦闘に利用される武器であるが、MP5は高い精度と高い火力という利点を提供する。
拳銃よりはるかに高い射程と停止効果(ストッピングパワー)が得られる。
MP7では弾薬の変更により高い貫通力を得るに至り、運転手やボディガードにとってさらに適した武器となった。
短機関銃は分隊内における武器の相互作用という観点では高い存在意義を持つ。


・小銃
最も一般的で用途の広い武器である。ここではアサルトライフルを指す。
「Fahren, Funken, Feuern」では有効射程は7.62mm(G3)より5.56mm(G36)の方が長いと評価されている(※)。
これは射程は弾薬にのみ依存するものではなく、照準器にも依存するという考え方があるためであり、G3ZFでは射程は大きく伸びる。
アサルトライフルは離れた場所から精密射撃によって戦う武器であるが、近距離戦闘にも適している。

フルオート射撃は緊急時に使用されるべきである(例えばSturmabwehrschießenなど)。
この場合は3~4ショットの短いバースト射撃である。弾薬の消費は急増するが、目標への影響が必ずしも高まるわけではない。
アサルトライフルを90度傾けて遮蔽物に隠れながら発砲する所謂めくら撃ちには効果がなく、相手が明確に識別されている場合にのみ発砲するという原則に反する。
また排莢孔が下や上に向いていると排莢に悪影響を及ぼす。

戦闘前に土嚢などによってライフルレストを確保する。これは車両でも良い。

トレーサーの多用は暗視装置に悪影響を与えたり、敵に自らの位置を特定しやすくしたりしてしまうため3発に1発の割合で混ぜるのが良い。
1名だけが暗視装置を搭載した銃でトレーサーを射撃し、他の射手を誘導するという手段も取られる。
またトレーサーは残弾管理にも用いられる。
弾倉が空になる前に交換できるよう「フル状態」、「半数状態」、「残り4、5発」のところで2組のトレーサーカートリッジを装填しておく。
これは戦闘のストレス下では有効に残弾確認できる方法であるが、日中の痕跡は分かりにくいため明確ではない。


・機関銃
機関銃は高い発射レートの直射武器である。
機関銃を最大限に有効活用できるのは「側面攻撃」であるが、このためには理論上「L型フォーメーション」を採用することになるとされている。
敵の進行方向に関わらず(機関銃の射線に対して直行であろうと平行であろうと)、「首を振る」角度が狭い方が良い。
7.62mm以上の口径の威力は5.56mm口径と対照的に市街地や森林部で好まれる。
機関銃を定位置から使用する場合、あらかじめ複数の定位置の候補を決めておく必要がある。
これは敵の狙撃手の標的になるのを避けるため、順次定位置を変更するためである。


・狙撃銃
狙撃手は500mを超える射程で(G36の射程が500mとされているので)、敵の指揮官や機能要員、狙撃手、機関銃手などを標的とする。
倍率照準器を使用してチェックポイントなど保安上重要な地点を監視することもある。
狙撃銃に加え無線機と双眼鏡を装備した監視チームが組まれることもある。
狙撃手はある程度自立的に行動することが許されているが、基本的には小隊や分隊の任務と密接に結びついている。


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ということで簡単にまとめましたが、基本的には当たり前のことが書いてあるだけです。







小銃の項目で触れた有効射程ですが、掲載資料によるとこんな感じ。数値は厳密なものではないと思いますが目安として。
名指しされていたわけではないのですがSturmgewehr 5.56がG36、Sturmgewehr 7.62がG3、ZF Gewehrが狙撃型G3なのでしょう。
考えてみれば当然のことですが狙って当てられてこその有効射程というわけです。
Machinengewehr 5.56とMachinengewehr 7.62の有効射程が同程度とされているのも興味深い点です。
ラフェッテによって大きく射程が伸びることを踏まえると、火器は(カタログデータのみによるのではなく)運用方法を加味して評価すべきだといえるでしょう。



対戦車兵器やグレーネード類に関する記述はまたの機会に。



Tschüs!!


参考文献:
Ingo Werners 『Fahren, Funken, Feuern』 2010
  
タグ :小隊分隊

Posted by Nekotin at 16:03Comments(0)編成とか