2019年01月19日

SASアサルトベスト




サバイバルエクイプメント(以下SE)のSAS Tactical Assault Vest


……だと思います……多分

というのもベスト本体にタグなどはありませんし、はっきりそれと示す資料も残ってないんですよね。
同ブランドのSBSチェストリグ(カヤックリグ)みたいに特徴的な製品なら苦労しないのですが。






なんとか03年頃のSEのウェブショップを掘り当てましたがこれじゃなんとも……

しかしこのまま話が進まないのもなんなので今回は暫定でSEとさせてください。



ちなみにSEショップは03年の時点でタスマニアンタイガーのベストやタックギアのリグなども置いていました。
なぜかDOAVまで加えられていたので、もしかしたらBWでDOAVの使用例が見つかるかもしれませんね。








前回のワイバーンベストと同様、英国アサルトベストのクローンです。
ワイバーンよりはポーチの配置バランスは良さそうに見えますね。


前回得られた情報によりますとこの手のベストの直接的な原型は英軍官給の「Waistcoat Men's General Purpose Ops」になるんだとか。








アサルトベストファミリー(?)ではお馴染み両肩2点吊りタイプ。
(こちらもベルクロ貼り合わせなので力学的に吊ってるわけではないです)


ここだけ見ると南アP83ベストから由来してKSKベストへ受け継がれていく流れが垣間見えるような気がします。









ポーチ構成は大変シンプルでダブルマグポが4つとその両脇にユーティリティ、
グレネードポーチが2つとその反対側に箱型ユーティリティが配置されています。

過不足のない一般的に使いやすそうな構成と言えます。面白みがないとも……

なおポーチ類自体に特にギミックはありません。まぁ見たまま、普通の袋ですね。









いつもの。

右身頃のスペースにはなにもなし(これもいつもの通り)。









背面にはハイドレ収納用スペースなどはありませんでした。
ドラッグハンドルがあるのみで拡張用テープなども一切なし。

余計なものを加えない割り切った設計であることが分かります。








使用例……書籍では見たことあります。空軍ObjSBtlですね。

KHS/CCGやMMB(タックギア)からもアサルトベストクローンが出ているのですが、
SEはポーチのデザインや配置に特徴があるので同定しやすい方ではあります。


KHS/CCGとMMBの判別は大変でファステックスぐらいでしか見分けられませんでした。







Tschüs!!
  

2019年01月12日

ワイのワイルドワイバーン




「俺はなんでこんなものを……」系の買い物です。

英国ワイバーンブランドのアサルトベスト
ALL-ARMS LOAD VEST

よくあるタイプのアサルトベストの変種のうちの一つです。








早速タグから。

英軍事情はよく分かりませんが民生品にもNSN付ラベルを付加しちゃうものなんですかね。
(というかNSNなんでしょうかこれ)

XLといっても馬鹿でかく作られているわけではありません。
スタンダードともあるのでフリーサイズのような意味かも。









裏地が白い、というか茶色い。ノスタルジーを感じさせます。
生地自体はしっかりしておりレプリカのようなチープ感はなし。

このベストの出現は90年代初頭のことだと言われていますが、
フレックターンはいつ頃ラインナップに加えられたんでしょうね。

マガジンポーチは3点で、すべて左身頃に集約されていました。
なぜか内側の1点だけに3本用の仕切りが設けられています。
(レプリカP83ベストみたいだぁ……)









仕切りのあるポーチにもなんとかG36マグが2本入りました。

このベストが出現した年代的にはG3マグを入れるべきか。









マグポーチ上には縦長のユーティリティポーチと階級章用のテープ。
英軍階級章に対応したものなのでBW階級章にはちょっと大きいか。









右身頃のユーティリティポーチは小物の紛失対策なのかジップ式です。








こちら側は袋型ユーティリティポーチが3点どーんと配置されていてボリューミー。
非対称型配置はこの手のベストの魅力と言えますがさすがにどうなんだ……


ちなみにマグポ以外はドレンホールが設けられていません。
水没したらヤバそうですね。









お約束ですが左身頃には内蔵ホルスターが。
ここだけOD生地が使われています。









背面は袋状でハイドレなどを収納可能。

左身頃にALICE規格対応らしきテープも。

また左身頃の裾部分にはオスメス2対のファステックスが下向きに縫い付けられています。
専用ホルスターを吊るなら右身頃にも付いていそうなものですがはたして……







肩部を2本のテープで吊る(※)タイプのベストは英国が発祥なのかどうかはともかくとして、
80年代末から90年代にかけて様々なブランドから亜種・近縁種が販売されたといいます。
ワイバーンもその一つということのようです。

(※実際には吊っているわけではなくベルクロの張り合わせを併用しています)

ドイツにおいてもサバイバルエクイプメントが近い形のベストをラインナップしましたが、
そんな風にナイロンの遺伝情報は少しずつ形を変えながら受け継がれていくわけですね。





使用例は……あったら教えてください……








追記:右の人がワイバーンかな~……

右身頃にユーティリティが3つ並んでるってだけの安直な同定なわけですが。
フラップにバイアステープが見られますがそういうバリエーションもある様子。






Tschüs!!
  

2018年12月16日

投げるマン

手榴弾の話です。

現在ではIdZのモジュラーポーチや支給ベストの縫い付けポーチでDM51などの手榴弾を安全に携行できるわけですが、
システム95やそれ以前の古いサスペンダーキットにおいては手榴弾用ポーチが支給されている様子は見られません。

私が認知していないだけで専用ポーチがあったのか、あるいは特にそういった用具はなく適当に持ち歩いているのか、
画像や動画を見ても手榴弾を(見えるところで)携行しているシーンというのが存外見つからないのでなかなかに謎です。

先日ついに手榴弾の取扱資料「ZDv3/17」を入手したので、かねてから疑問であった「携行方法」について見てみましょう。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



〇画像・動画に見る携行方法




資料の内容に入る前に動画に見る携行方法を。胸のあたりの青い物体がDM51の訓練用モデルDM58です。
西独時代のサスペンダーキットのストラップにピンのリングを繋いでぶら下げる方法。危なくないのか……




動画はこちら(1分50秒あたり)







書籍から。サスペンダーから針金を伸ばしリングを通す。また、ベルトと腹の間に挟むなど。

昔の人全体的に手榴弾の扱いが雑過ぎない……?






ハンメルブルクの教導部隊ではシステム95用の専用ホルダーが見られます。
あくまで教導部隊の試験用らしく全軍への普及は無かった様子です。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



〇ZDv3/17に見る携行方法

それでは資料本編を見てみましょう。


手榴弾の携行方法は状況や準備の度合いによって異なります。
・ズボンのカーゴポケットに入れる
・雑納やバックパックに入れる
・ストラップ付の持ち運びバッグに入れる(画像Bild-101/102参照)




ええ……(困惑)

ズダ袋を首から下げて柄付手榴弾をつっこんでた第一次大戦時のStoßtruppenかよォ……

文章を見るに持ち運びバッグは各自工夫して用意しろってことでしょうね。









・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・












このまま終わるのはあんまりなので同資料より手榴弾の投げ方について。

〇手榴弾の投擲プロセス


・レバーは手のひらの方へ向け、親指と人差し指の間に入れる(Bild-106)
・握った手を太ももに当てて支える(Bild-107)
 (ピンを抜いた時の反動で手榴弾を取り落さないようにでしょうか?)
・人差し指をピンのリングにかける
・ピンを引き抜く
・その直後に投げる



〇手榴弾の投擲法



投擲法には2種類あります。
Bogenwurf(弓型投げ):離れた敵に対して使う。やり投げのように投げる。
Schleuderwurf(投石器投げ):ドアなどに投げ込む場合に使う。すくい投げ。

森林部の戦いにおいては枝やカモフラージュネットに跳ね返る危険がありますので、このような場合は転がすこともできます。
市街戦では敵に対して上階層から落とすことも。




〇投擲時の姿勢




状況によって立ったまま、あるいは膝立ちで、あるいは伏せた状態から投げます。
小銃等の武器はいつでも使える状態にしておきましょう。

この辺は見たまま、というか各所で解説されている米軍や自衛隊とおおむね同様かと思います。






今回はこのあたりで。掘り下げられそうであればまた次回に。

Tschüs!!

  

Posted by Nekotin at 11:31Comments(0)考察

2018年11月25日

ELNO H-295A




また記憶の曖昧なおじいちゃんみたいに同じものを買う……

よく知られたELNO H-295Aですね。今回はケーブルとのセットです。








以前買ったもの(→)と同じものですね。

左右組み換え可能なんですが今回のは来たまま右側用にしています。








イヤカップカバーも付属してました。遮音用でしょうかね。







すっと嵌める感じです。蒸れそう。







今回本命のケーブル類。SEM52SL用のNF10コネクタとPTTスイッチです。
TK5でも同じこと思いましたがPTTのケーブルこんなに細くて大丈夫なのか。








おなじみ(?)LEMOコネクタです。SEM接続用は5ピン。







PTT接続用は2ピンでした。







LEMOといえば自動ロック付の高級コネクタなわけですが、
どうしても華奢な印象で付け外しに慎重になっちゃいますね。








おまけ感覚で付いてきたキットバッグ。本当にこのバッグで支給されるんでしょうか。







PTTはケーブルを遡上して本体にくっ付いていることも。
パラシュート補修テープでまとめるといかにもな雰囲気に。









FschJgBtl313の2010年派遣チームから。828ヘルムとの組み合わせが個人的にお気に入り。







FschJgBtl373の2010年派遣チームから。
ヘッドバンドが置き換えられていますが、本当に使いにくいんですよ。
奥側の人に至ってはイヤカップまで外しちゃってます。


もともとモノがあまり品質よくなさそうなんですよね……









イヤーカップの様子がわかります。PTTはH-267用でもう無茶苦茶。





Tschüs!!
  
タグ :ELNO

Posted by Nekotin at 21:08Comments(0)ブンデス通信機器

2018年11月10日

Operation Libelle

今回はドイツ連邦軍陸上部隊による初の銃撃戦に関する内容です。

諸兄の皆さまは「99年のプリズレンの事件は以前取り上げただろう!!」とお怒りのことでしょうが、
プリズレンの場合は正確に言うと「初めて銃撃戦による殺害が認められた」事件だったんですね。

私も最近まで知りませんでした…… 
(プリズレンの記事はこちら→「血の日曜日」)

史上初、というものは得てして曖昧さを含むものですが、BWファンとしてこの間違いはお恥ずかしい。
ということでリベンジも兼ねて(?)、今回は97年にアルバニアで行われた民間人救出作戦を取り上げます。

作戦名は「Operation Libelle(リベレ)」、Libelleはドイツ語でトンボを意味する語ですね。




さて時代背景であるところの「アルバニア暴動(1997年)」は、簡単に言えばアルバニアの経済破綻を発端とした全国各地の大規模な暴動のこと。
治安が悪化していくと共に内戦状態、無政府化にまで陥り、最終的には国連軍が派遣され治安回復作戦を実行するまでに至りました。


暴動が端を発したのは97年の1月のこと。3月2日には大統領によって非常事態宣言が発令され、遅れて同月11日に外国人の退去命令が下されます。
退去命令と前後して米軍やイタリア軍は空港からの避難作戦を行っており、この時点ではまだアルバニア政府がある程度機能していたようですが、
暴動・鎮圧がさらに激化した3月13日にはもはやドイツ大使館に逃れた数十名の避難民を、チャーター便で脱出させる手段は失われていました。





作戦前夜となる3月13日、この事態を重く見た時の国防大臣フォルカー・リューエがドイツ連邦軍によるドイツ人救出作戦の発動を決定します。
このときアルバニア政府への通達などは行われなかったようです。すでに政府がほとんど機能していなかったということなのかもしれません。

早い段階で海軍のフリゲート艦「ニーダーザクセン(F208)」が作戦のバックアップのためアルバニアのドゥラス(Durrës)港に進入しました。
ドゥラス港はドイツ大使館のある首都ティラナ(Tirana)と目と鼻の先です(といっても交通路で30kmほどの距離)。


さらに作戦当日、3月14日の朝、SFOR任務のためにボスニア・ヘルツェゴビナのライロバッツ(Rajlovac)キャンプに配備されていた6機のCH-53Gが、
クルーおよび装甲擲弾兵部隊・医療部隊の計89名からなるタスクフォースを伴ってクロアチアの最南端の街ドゥブロヴニク(Dubrovnik)へ移動します。

このときドイツ国内では3機のC-160が24名の兵士(6名の衛生兵含む)と共にランツベルク/レッヒ航空基地で待機していました。
ランツベルク/レッヒといえば当時第61空輸航空隊(LTG61)が詰めていた基地ですが、LTG63もこの作戦に参画していたようです。



ざっくり地図(D-Mapsより)

ヘリ部隊は午後にはモンテネグロのポドゴリツァ(Podgorica)に移動。
さらに待機していたC-160がポドゴリツァを目指して離陸。


さて、避難民のピックアップポイントに選ばれたのはティラナ国際空港、ではなくドイツ大使館のあるティラナ中心部に近い「ラプラカ飛行場」。
ほとんど使われなくなっていた飛行場ですが大使館から3kmほどの距離にあり、大通りで結ばれているこちらの方が好都合だったのでしょう。
このとき避難民は主に車両で移動したと思われます。飛行場までの移動の段階からドイツ側の誘導、手引きがあったのではないでしょうか。
(ちなみに大使館からティラナ国際空港までは12kmほどあります)


15時40分、タスクフォースがティラナのラプラカ飛行場に到着しました。
このとき別の避難作業に当たっていた米軍のブラックホークが銃撃され引き返すという事件が起こっていたにもかかわらず、
作戦の指揮を執っていたSFOR指揮官Henning Glawatz大佐(当時)は作戦の続行を決定しています。
(この時点でピックアップポイント周辺はほぼ内戦状態であったことがうかがえます)

着陸したCH-53Gから兵士たちが展開し飛行場の安全を確保、避難民の収容作業を始めたわけですが、兵士による銃撃戦はこの過程で勃発しました。
襲撃者は不明ということになっていますが装甲車を伴っていたということですので、武装した暴徒というより民兵や反乱軍だったのではないかと思います。



G36はまだ配備されていないので連邦兵士の武装はG3です。アーマーはブリストルで、S95(S88?)を併用しています。



MG3も展開。関連写真を見るとPzFst3らしきものも写ってますので対装甲戦闘も想定されていたんでしょうか。



CH-53Gが1機破損のほかアルバニア人避難民1名が負傷という結果に。ただし無事収容を済ませているので追い払うことは出来たのでしょう。
16時9分、ドイツ人21名、日本人13名を含む総勢98名にのぼる民間人の収容に成功します(ソースによって104名とも言われております)。
避難民はポドゴリツァで下され(少なくともドイツ人は)ケルン・ボン空港まで移送されました。



ニュース映像よりライロバッツに帰投したタスクフォース。
ヘリ部隊(mTrspHubschrRgt 25 & HFlgRgt 35)のワッペンが確認できます。


その後の処理によると銃撃戦では総計188発の銃弾を発砲していたとのこと。襲撃者の死亡者、負傷者は不明のままとなっています。


翌月、国連軍による安定化作戦「オペレーション・サンライズ」が展開され、ようやく騒動が終結へ向かうこととなりました。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

連邦軍による民間人収容作戦ということで以前取り上げた「オペレーション・ペガサス」との類似点・相違点も興味深いものです。

時間的にも航続距離的にも、また収容人数的にもなるべく(リビアのおように)C-160のような固定翼機を現地に派遣したいところでしょう。
この場合はSFORで派遣されていたヘリ航空隊が利用できたわけですが、そうでなければティラナ国際空港にC-160を強行着陸でしょうか?
あるいはニーダーザクセンから歩兵部隊が上陸し(ティラナとドゥラスは幹線道路で結ばれていますので)陸路を伝って収容していたかもしれません。


ドイツはアルバニアやリビア以外でも在外ドイツ人の避難作戦を行っています(ウクライナ、南スーダンなど)。
これらの場合は武装を伴わない状態での航空機派遣・避難誘導など、ある程度外交的な作戦かと思われます。

計画のみで最終的には実行されなかった作戦もいくつか知られており(イエメン、イラク、ザンビアなど)、
ドイツ政府・ドイツ連邦軍がこうした緊急事態への備えを常に維持しているということがわかります。

94年のルワンダでは政治的懸念からドイツ人救出をベルギー軍に頼らざるを得なかったという背景もありますので、
97年アルバニアのオペレーション・リベレはドイツ連邦軍としても大きな転換点であると捉えることが出来そうです。


法的にはまだ色々問題があるそうですが、民間人避難・救出は軍隊の大事な役割の一つと言えるでしょう。





Tschüs!!
  

Posted by Nekotin at 17:15Comments(0)オペレーション