2016年05月22日

ブンデス回転翼


最近ドイツ連邦空軍にドはまりしてます。
私は個人装備オタクなので空軍と言っても興味があるのは歩兵戦力なのですが。

特に関心度の高いKampfretter(HSG64)についてはこれまで何回か話題にしてきましたが、そもそもCSARとは何か、これまでの空軍SAR部隊や陸軍の救難部隊とどう違うか等々はなんとなくくらいの理解で済ませてきたんですよね。

今回は自分用の参考程度の情報ですが、彼らの任務に必要不可欠な要素であるヘリコプターについてもまとめてみました。


ブンデス回転翼
CH-53GS 85+00 Angel Thunder 2015 (Photo:DVIDS)


まずCSARとは一体……というところからはっきりさせていきますが多くの場合「(戦時下で)敵性地帯に墜落した航空機の乗員を救助する任務」と説明されています。
ここでのポイントはNEO(=non-combatant evacuation operation)のような民間人保護とは区別されること、SAR(=search and rescue)とは異なり敵の脅威下で救助活動を行わなければいけないことです(それゆえSARに”Combat”が付加されたわけですね)。

そういったCSAR任務に適する乗り物としてはヘリコプター、それもCH-53やUH-60、CH-47等比較的大型の種類が挙げられます。
これらの大型ヘリコプターは低空を低速で飛行できることはもちろん、敵の攻撃に対する自衛手段(ガナーや欺瞞装備)や十分な夜間飛行能力、空中給油能力を備えているもので、CSARを含む各種救難任務に対応したバリエーションとなってます(CH-53→MH-53、UH-60→HH-60、CH-47→HH-47)。

なるほどなるほど。
ただ連邦空軍が運用しているCH-53のバリエーション(CH-53G/-GS/-GE/-GA)はいずれも空中給油プローブを持っていないようです。
これについては外部燃料タンクが追加されていることで差し引いてもいいかもしれません。
(そもそも連邦空軍は回転翼機に給油できるタンカーを持っていない様子)

救難任務といえばUH-1による所謂ダストオフの印象が強かったためなぜこんなデカヘリコプターを?と疑問だったのですが戦闘救難となると十分な設備のためにそれなりに大きな機体を用いねばならないということなんですね。


さてHSG64の直接的な歴史については2010年まで遡ります。
HSG64の前身の一つとして陸軍のmittleres Transporthubschrauberregiment 25 (mTrspHubschrRgt25:第25中輸送ヘリ連隊)が挙げられます。mTrspHubschrRgt25はラオプハイム基地に駐留しており2012年末まで活動、13年3月に解隊されました。HSG64はmTrspHubschrRgt25からラオプハイム基地とCH-53G/-GSを引き継ぎ13年から運用を開始します。CH-53GSを引き継ぐ以前はC-160を運用するLTG62(第62空輸航空隊)、LTG63(第63空輸航空隊)から2010年に移管されたSAR用UH-1を使用していました。

(余談ですがLTG61のSAR部隊は2012年に解散し、UH-1は陸軍のTransporthubschrauberregiment 30=第30輸送ヘリ連隊に移され13年から同部隊内のEinsGrpSARを形成しています)

HSG64にCH-53GSが異動する過程でCSAR能力付与のため26機のCH-53GSがCH-53GEに改修されました。これは衛生通信システムや全天候光学システム追加、およびアフガンでのミッションのためにエアインテーク前部にエアフィルターを設置するなどの改修が施されたモデルです。
(上に掲載した85+00番機はエアフィルターを備えていますが、機番で調べても-GE型かどうかわかりませんでした)
また同時期の2010年より代替モデルまでの繋ぎとして40機のCH-53GがCH-53GAに改修されています。2030年まで(!)の耐用年数の延長と-GEのようなシステム面のアップグレードが施されているそうな。
(HSG64はCSAR部隊だけでなく兵員輸送、貨物輸送のためのCH-53飛行隊を持っていますのでそちら側の要求も満たさねばなりません)



ブンデス回転翼
CH-53GS 85+00 Angel Thunder 2015 (Photo:DVIDS)



気になるNH-90ですがCSAR運用としては2008年の時点で不向きであるとの発表がなされ、輸送ヘリコプターとしては輸送能力不足を指摘されたためHSG64での今後の運用は見送りとなる様子。HSG64でも2010年から2012年まで運用されました。

直接的ではないもののHSG64のもう一つの前身としてHubschraubertransportgeschwader 64 (HTG64)をご紹介します。
この部隊はSARを担当していた純粋なヘリコプター飛行隊でしたが94年に解散。部隊章のデザインがHSG64に受け継がれています。
HTG64に所属していた19機のUH-1は解散後にLTG63に転送されたので、結果的には16年越しに古巣に戻ってきたということになります。


HSG64といえば今年からH145M (EC645 T2)の運用を開始したことでも話題になりましたね。
これにもホイストやファストロープ用フック、後部観音開きドアが備えられていたりと救難ヘリとしての要素は大きいのですが、„Light Utility Helicopter Special Operation Forces“というコンセプトが示す通りKSKのための空飛ぶタクシー的な扱いになります。実質的には(KSK任務向けの)Bo105の後継&拡張版といった位置付けと言えるのではないでしょうか。


大分横道に逸れた上にあまりまとまっていませんがまたの機会があればより詳しくツッコんでいきたいなと。



Tschüs!!




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Posted by Nekotin at 19:27│Comments(0)編成とか
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