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Posted by ミリタリーブログ at

2018年06月10日

RSUKp



RSU Kompanie



 今回はかねてから手を広げてみたかったBWの予備役「RSU」について。

 とはいえ、ここをご覧になっている諸兄には「RSUってなんだよ! そもそもBWの予備役はどんな形態なんだよ! 毎度毎度説明が足りてねぇんだよカス!」とお思いの方も少なくないでしょうから、まずは簡単な説明から。


 現在(2012年以降)、BWの予備役は3種類に分類されています。

 ・Truppenreserve
 ・Territoriale Reserve
 ・Allgemeine Reserve


 一つ目のTruppenreserveは現役部隊の人事支援のための枠組みで、短期間の再訓練でスタンバイ可能な人材が配置されています。
 通訳や言語専門家などのスキルを持ったは人材は海外派遣の際に重宝され、中佐待遇で迎え入れられることもあります(基本的に予備役の階級は除隊時のものが維持されます)。

 Ergänzungstruppenteil(補助部隊)に割り当てられる人員もここに分類されています。Ergänzungstruppenteilは旅団下や連隊下に属している非活性型部隊で、第908、909装甲擲弾兵大隊やObjektschutzregimentの第3大隊、第26、31降下猟兵連隊の第10中隊などを例に挙げることが出来ます。動員命令が下った際は予備役ら(一部現役含む)がこれらの大隊・中隊を形成します(ゆえに非活性)。
 
 ErgänzungstruppenteilにはTyp1~Typ4に分類できるのですがここがクソ面倒で、例えばTyp1は「部分的に非活性な大隊」で第8山岳戦車大隊が該当します。第8山岳戦車大隊は第1、2中隊が非活性、第3、4中隊は活性(現役)なのですが、第3中隊は第104戦車大隊に、第4中隊は第393戦車大隊に間借りする形となっています。
 Typ2は先にも例に挙げた第908、909装甲擲弾兵大隊など「全体が非活性な大隊」です。
 Typ3は「全体が非活性な中隊」で、これも先に上げた第26、31降下猟兵連隊の第10中隊などが例です。
 Typ4は「全体が非活性な後方支援大隊」で、第1、10後方支援大隊が該当します。


………………



 二つ目、Territoriale ReserveはRSU、所謂ホームガードで、地域ごとにまとめられ現役部隊の支援を担います。陸海空軍の所属ではなく、Streitkräftebasis(戦力基盤軍)のLandeskommandosの管轄下で稼働します。
 一個RSU中隊は100名程の規模で全国に30個中隊が散らばっていますので全体で大体3000人の規模です。2007年以前に存在したHeimatschutzbataillon(国土防衛大隊)が2012年に復活したようなイメージですが規模は大分小さくなりました。
 (Heimatzschutzbataillonは猟兵大隊を簡素化したような構造で1000名程の人員で構成されていました)

追記:2021年にRSUKpの名称がHeimatschutzkompanieに変更されました。先祖返りですね。


 RSU中隊は中隊本部、3個保安小隊(Sicherungszug)、後方支援を担うProjektzugから構成されています。保安小隊は3個保安分隊から成ります。
 中隊長には現役部隊より高めの中佐クラスが任命されます。
 また人員は元職ばかりでなく、基礎教練をクリアし直接RSUに加入する者も存在するようです。
 (予備役へのキャリアとしては他に、一般の大学などに通いながら予備役士官過程を終了し任官するパターンもあります)


………………



 三つ目、Allgemeine Reserveは上記2種以外の人材ですが、冷戦以降動員計画はなく、ただ単にプールされているだけです。2010年頃には120万名が登録されていたといいます。
 (動員計画のあるTruppenreserve、Territoriale Reserveは合わせてBeorderte Reservistenと呼ばれますが、これは2012年時点で38000人ほど)


………………



 さて今回の関連付けアイテムはバイエルン州のRSU中隊パッチです。バイエルンの場合、7つの行政区分すべてにRSU中隊が置かれており、実にRSU全体の1/4がバイエルンに集中していることになります。まぁバイエルン自体が大きな州なので妥当とも言えますが。




RSUKp Oberpfalz (neu)


 バイエルン東部、オーバープファルツ区のRSU中隊のパッチ。意匠はプファルツライオンと振りかざされた剣。
 このデザインは2代目で、以前はオーバープファルツ区の紋章がそのまま使われていました。




………………





RSUKp Oberpfalz (alte)


 オーバープファルツのRSU中隊の旧バージョン。前述のとおりオーバープファルツ区の紋章そのもの。




………………





RSUKp Oberbayern


 バイエルン南部、オーバーバイエルン区のRSU中隊のパッチ。これもオーバーバイエルン区の紋章がそのまま。
 向きは異なりますがオーバープファルツと同じライオンです。




………………




(Photo:Bundeswehr)


 左からRSUシュヴァ―ベン、RSUオーバーバイエルン、RSUオーバープファルツ、RSUニーダーバイエルン。基本その地区の紋章そのままです。他の地域だともうちょっと凝ったものもあるんですが。
 普段ならもっとイカす使用例を貼って興味関心を煽るところなんですが、バイエルンのRSUは母数に対して露出が少ないような気がする。








(Photo:DVIDS)


 Saber Junction 2016よりRSUオーバープファルツの予備役。







 ちなみにこれらのパッチはオーバープファルツRSUの中隊長が直々に販売しているものだったり(ショップまで存在します)。



 Tschüs!!  

Posted by Nekotin at 18:14Comments(0)編成とか

2018年06月03日

Dienstglas 8x30




そろそろ手を出してもいいんじゃないか、

……いや、出すべきなんじゃないか、

ということでBWな双眼鏡を入手してみました。








某オクに転がっていたのをほぼ衝動買い。一応30秒くらい悩みましたけどね。

プリズムタイプのゴツめの構造いかにもな雰囲気を醸していてかっこいい。

8×30(倍率×対物レンズ径)なのでよく見られるD16型かな、と思ったんですが、
届いてからよく確認すると、う~んちょっと違うかな、なんだろうコレ感が……








民生品かな、と一瞬頭をよぎりましたが接眼側カバーをめくるとコレ。

再軍備時(55年)から供給され始めたモデルなので本当に古いもの。









左眼側カバーをめくるとヘンゾルトウェッツラーブランドのロゴとBWBステッカー。

この時点でヘンゾルトはカール・ツァイスのブランドの一部をなしていましたが、
ツァイスはツァイスで6×30や8×30等の双眼鏡をBWに対して供給していました。

(大手ツァイスだけでは需要に対応できなかったということでしょうか)

レーザ保護搭載のD16が登場するまで、これら旧型が兵士の目となりました。



ちなみにヘンゾルトやツァイスの調達価格が膨らみ過ぎたため、シュタイナー製のD12が66~72年の間調達されたと言われています。
D12では防水仕様や窒素封入等の実験的な技術が盛り込まれましたが、修理・維持に手間がかかり結局ペイできなかったんだとか。







こんな風にカバーをめくって使います。このゴムカバー付モデルは59年から登場。

左右で微妙に仕様が違いますけど何かの要因で交換されたのかもしれません。








接眼レンズ側のカバーは経年劣化も相まって千切れかかってます。

右眼カバーの赤いマーキングにはどんな意味があるんでしょうかね。








アイリリーフは0なので上手く撮影できませんでした。
ガスマスク着用時なんかは困っちゃうでしょうね。

像に関してはさすが一流ブランド、メチャメチャ綺麗。

右眼側にはレンジファインダーが挿入されています。
適当に近所眺めて距離を推定する遊び楽しい……



使用例~は古いのでパス。一応80年代ぐらいまでは主力部隊でも見られます。





これもコンパスと同じでハマると「専攻」マニアになっちゃいそうですね。
世の中のコレクターたちの気持ちがちょっとわかったような気もします。


お次は本命のD16を入手したいところです。


D16以外にもD17(7x50)、D18(7x50)、D19(10x50)と似たようなバリエーションがあるのですが、
部隊によって供給されるものが異なるのか、年代によって違うのか、調べておかなければ……




Tschüs!!
  

Posted by Nekotin at 18:24Comments(0)ドイツ連邦軍