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Posted by ミリタリーブログ at

2021年12月05日

ドイツ連邦軍のキャリアと階級

ドイツ連邦軍がかねてから検討していた新しい階級、「Korporal」と「Stabskorporal」

この階級への昇進者が表れたことが私の頭の中で話題になっています。


国防省のアカウントから。Korporalがこれまで兵卒の最上位であったOberstabsgefreiterの上位に位置していることが分かります。
ツイッターの担当者もまだ慣れていないのでしょうか、「Koporal」と誤字が。

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Korporal=コーポラル(Corporal:英)といえば日本語では「伍長」と訳されることが多く、下士官のうち一番下の階級ととらえられるのが一般的なようです。

NATO基準で見てみるとコーポラルはOR-3もしくはOR-4に相当するそうですが、ドイツ連邦軍においてはすでにこの層を「兵卒」であるところの「Obergefreiter」から「Oberstabsgefriter」までの4階級が占めています。
この兵卒のカテゴリにさらに階級を上乗せしようというのがこの度の「Korporal」とその上位の「Stabskorporal」なのです。

したがって、ドイツ連邦軍におけるコーポラル(Korporal)は下士官に分類されるものではなく、兵卒のさらなる出世のための階級であると理解することができます。


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さて、この分かるようで分かりにくい、ドイツ連邦軍の階級とキャリアについて、せっかくですので2015年版「Reibert」(諸兵必携)の「Laufbahnen und Laufbahnausbildung」の項目から読み取って理解を試みてみましょう。

連邦軍のキャリアは階級ごとのカテゴリに応じて4つに区分されています。

(1)兵卒(MANNSCHAFTEN)のキャリア
兵卒のキャリアコースは資格に関係なく、最下の階級から軍務に服したい志願者を対象としています。
標準的な任期は4年間で、入隊条件は義務教育を修了することでです(義務教育は通常15歳までですが入隊時は17歳である必要があります)。
原則として兵卒は管理職ではありません(部隊を率いることは稀)。
適性と必要性に応じて運転手、無線手、あるいは戦車や砲、工兵機器のオペレーターとして部隊に貢献します。

※兵役があった時代、徴集兵は兵卒として入隊していました。
※兵役があった時代も志願して兵卒から軍のキャリアを開始することができました(自主兵役=FWD)。現在でも任期制(SaZ)とは別に自主兵役という形で入隊することができます。


(2)下級下士官(UNTEROFFIZIERE)のキャリア
入隊条件は実科学校(Realschule)の卒業証書かそれ相当の教育レベルです。
任期は基本的に8年となります。
志願者がすでに連邦軍で通用する専門資格を持っている場合、UnteroffizierまたはStabsunteroffizierとしてキャリアを開始することが可能です。
専門資格を持たずに入隊した場合、連邦軍での勤務を通して民間職業で認められた資格を取得することができます。
(いずれの場合もいきなり実務を担うことはなく、まず候補生として基本的な軍事訓練を受ける必要があります)
下級下士官は様々な業務を担います。例えば本部職、修理要員、電子偵察要員、弾薬処理要員、空挺分隊の班長などです。

※このキャリアは正確には「一般専門職下級下士官(UNTEROFFIZIERE des Allgemeinen Fachdienstes)」と呼びます。専門技能を持つことが前提です。
※ちなみにキャリアカテゴリとしての「UNTEROFFIZIERE」と階級名としての「Unteroffizier」は紛らわしいので、この記事では前者を全大文字で、後者を小文字併用で書き分けています。


(3)軍曹(FELDWEBEL)(=上級下士官)のキャリア
軍曹のキャリアには適性と専門資格に応じて2つの形態があります。

・兵務職軍曹(FELDWEBEL des Truppendienst)
ここでいう兵務職(Truppendienst)は戦闘任務など、純粋な兵隊が担う職務のことを指します。
つまるところ兵務職軍曹は管理職(兵士の上官)として働く存在です。
部隊内で教官、教育者、部隊長としての任を担うのですが、これは若い年齢であっても大きな責任を負うことを意味します。
例えば戦車部隊では戦車とその乗組員を率いることもあれば、4両の戦車からなる戦車小隊を率いる場合もあります。
山岳部隊では10名の兵士からなる分隊を率い、軍事スキー、登山、山岳戦闘、山岳救助の教官も務めます。
入隊条件は基幹学校(Hauptschule)の卒業証書か実科学校(Realschule)の卒業証書、またはそれ相当の教育レベルです。
任期は通常12年となりますが、非任期制兵士(Berufssoldat)として働くことも希望できます。

・一般専門職軍曹(FELDWEBEL des Allgemeinen Fachdienstes)
一般専門職軍曹は高度な専門家としての責任を負います。UNTEROFFIZIEREの上位の存在です。
志願者がすでに専門訓練を受けていた場合、Unteroffizier、Stabsunteroffizier、Feldwebelからキャリアを開始することができます。
(※当然候補生として別途軍事訓練を受ける必要があります)
任期と入隊条件は兵務職軍曹と同じです。

※兵務職、一般専門職のほかに軍事専門職というカテゴリがあり医療下士官や軍楽隊下士官もいるのですが当然キャリアは異なります。
※UNTEROFFIZIEREとは「下士官」のことで、場合によってはFELDWEBELもUNTEROFIZIEREに含んで表記することもあります。ややこしいですね。
※上記のような場合は上級下士官(軍曹)を「UNTEROFFIZIERE mit portepee」、下級下士官「UNTEROFFIZIERE ohne portepee」と呼び分けたりします。ややこしいですね。


(4)士官(OFFIZIERE)のキャリア
ここで説明される士官のキャリアは正確には兵務職士官(OFFIZIERE des Truppendienst)のことです。
兵務職士官になるための入隊条件は原則的にアビトゥーア(大学進学資格)、高等専門学校(Fachhochschule)の入学資格、または同等の資格を持っていることです。
これだけでなく志願者は採用試験に合格する必要があります。
原則的に訓練中にハンブルクかミュンヘンにある連邦軍大学のどちらかで学位を取得する必要もあります。
士官候補課程では学科のほか様々な訓練を経て部隊長、教官、教育者としての職務に備えます。
士官の訓練はすべての兵科、軍種で実施され、実践的および理論的な要素を学びます。
各兵科共通の訓練に加え、兵科固有の訓練はそれぞれの訓練学校で行われ、主に任務に即した訓練が施されます。
士官の標準的な任期は13年ですが、非任期制兵士として働くことも希望できます。

※兵務職士官のほかに軍事専門職として医療士官、軍楽隊士官などもいますが当然キャリアは異なります。



いずれの場合も非任期制兵士は原則的に定年まで勤めますが、任期制兵士は満期で除隊し民間企業等に再就職します(これはどこの軍隊も同じことですが)。
徴兵期間を除き12年間任期を務めた兵士は別の公務員として転職できる制度もあるらしく、軍隊上がりの警察官という存在も珍しくないそう。
もちろん任期を最大25年まで延長することも可能です(定年は越えられませんが)。


この度の新階級導入は任期を延長したい兵卒のための、ある意味受け皿的な意図があるのだと思われます。
ここ数年で任期を延長したがる兵卒は増え続けているらしく、2015年の時点で兵卒の平均的任期は8年、今では15年以上の任期も珍しくないとのこと。
長い経験を積んだ優秀な兵卒を新しく制定した階級で切り分け、給与や年金を手厚くしようというわけですね。




4つのキャリアを簡単にまとめるとこんな感じになります(階級は下から上にかけて上位になります)。

各カテゴリの枠を超えて、例えば兵卒が下級下士官や軍曹にキャリア転向することもあります。
珍しいですが軍曹が士官を目指してキャリア転向を図ることもあるそうです。


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階級からは組織内の上限関係だけでなく役割や働き方を見てとることができます。
深く調べていくと面白い、奇妙な発見があるかもしれません。


Tschüs!!  
Posted by Nekotin at 17:16Comments(0)考察

2021年09月17日

G36小ネタ

さして情報発信などはテーマとせず、「アイテムを集めて自分だけの装備図鑑を作ろう!」みたいなノリで更新しているこのブログ。

一応月に一回は更新しようということになっているのですが、最近は特に目立った買い物もなく、あったとしても扱いにくいものばかりでネタがない状況に陥ってます。

所詮趣味ブログなんだから好きなタイミングで更新すればいいってもんですが、一か月以上更新がないと広告がド真上に出てくる仕様が気に入らないんですよね。

ということで今回はTwitterレベルの小ネタで埋めます。

(まぁいつもTwitterでやれレベルのスカスカな内容なんですが)


……………………


それは仕事終わりに優雅に茶をしばきつつ、連邦軍のG36取扱マニュアルをしばいて(翻訳して)いた時のことでした。

銃剣を運用しないドイツ連邦軍が、G36のバヨネットラグをどう捉えているのかを知るのが目的だったのですが、該当部分にこんな単語が出てきたのです。


「der Gewehrgranatführung mit Bajonetthalter」


「mit Bajonetthalter」が「バヨネットラグを伴う~」の意なのですが問題はその前。

「Gewehrgranatführung」がどう訳しても「ライフルグレネードガイド」になってしまうんですよね。

最初は特殊な専門用語かと思ったのですが「Gewehrgranat…」はどう解釈しても「ライフルグレネード」です。


_______バヨネットラグ付きライフルグレネードガイド……


G36にライフルグレネードってありましたっけ……?


慌てて調べると……





1:15からばっちり出てきますね。ていうかこんな基本的な資料をスルーするなよ、義務教育だろ……


もちろん諸兄に置かれましてはバッチリご認識のことだったでしょうが、G36を説明する一般的な資料には出てきませんから、私のように知らなかった人も多いのでは?


さらに掘り進めるとG36Eの英語版マニュアルにも記載がありました。



89式のように実包を使うそうです。

ガスカットオフ機能がないのにライフルグレネードを発射できるのは実包式のおかげなんでしょうか。動画でも排莢が見て取れます。


……………………


そういうわけでG36のバヨネットラグは実はライフルグレネードガイドの付随的要素だったんですね。

まぁ連邦軍はライフルグレネードも銃剣も運用しませんでしたが、もしかしたらそんな「今」もあったのかもしれません。

(ちなみに連邦軍のマニュアルにはバヨネットラグについて「銃剣を装着できるんだぜ」という程度の説明しかありませんでした)





このバヨネットラグの意味ありげなリングにはちゃんと意味があったんですね。

よく言われますがG36とG3は銃口周辺がそっくりです。G3も印象は薄いですがライフルグレネードに対応していますね。

ライフルグレネードが共通ということはないでしょうが、設計上の血脈のようなものを感じます。




Tschüs!!
  
タグ :G36

Posted by Nekotin at 21:16Comments(0)考察

2020年11月20日

Lines of Gear

「ファーストライン」や「セカンドライン」といったワードをご存知でしょうか?

「Lines of Gear」などと呼ばれる軍用装備品を分類する際に用いられる概念のことなのですが、意味するところは国や組織によって様々なようです。


ここではドイツ連邦軍関係(※)で広く見られる分類方法について解説します。

※:といっても公式のソースは無いに等しいのでマニア間でのやり取りやショップにおける表記に関する範囲と捉えてください。






Ausrüstungsschichten(Lines of Gear)について

一般的によく見られるのは1st~3rd Lineの3層構成でしょう。


・1st Line

ファーストラインは多くの場合EDC(Everyday carry)やサバイバルキットのことであると説明されますが、ドイツ語圏における意味合いは明らかに異なります。

すばり「生存のために最低限必要な機器」であり、これは
 ・ジャケットやズボン、インナーから防寒着までを含むすべての衣服
 ・手袋
 ・靴
 ・帽子
という位置付けとなります。







アレ、巷で見かける「ファーストライン」とはずいぶん違うな、と感じた方も多いでしょう。
(サバゲーマー界隈では)ベルトキットをファーストラインと呼称する向きもありますが、そのような定義とは大きくかけ離れています。


また「生存のために~」の解釈からライフル等の武器も含める場合もあるそうです。
しかしながら武器の類は装備の構成とはまた別の次元と捉えている方々が多いためか、実際のところそうした分類がなされることは稀です。
まぁ普段私たちが口にする「装備」という単語は武器を除外していることが多かったりしますよね。


以上の点から「戦闘に関わらない状況における必要十分な装備品」とも解釈できますね。
銃を持って戦うだけが兵士の仕事ではないので、戦闘に関わらない部分での階層も明示しておく必要がある、ということなのかもしれません。

プレキャリだのチェストリグだの言う前にまず服を着ろ! というのはなんだか合理的な考え方ですよね。






・2nd Line

セカンドラインは打って変わって「戦闘に必要な装備品」ということになります。

すなわち
 ・弾薬や作戦に必要な機器を運搬するためのベルトキット、ベスト、チェストリグ
 ・抗弾性能や防破性能を備えたアーマー、プレートキャリア、ヘルメット

また
 ・ハンディ無線機(SEM52とかMBITRとか)とそれを補完する機器(COMTACとか)
 ・ゴーグル
 ・ホルスター
なども多くの場合ここに分類されます。







戦闘のための機器を運搬するためのギア(=ロードキャリアー)と捉えておけばよいのでしょう。
ベストやチェストリグは弾薬などをキャリーするためのもの、アーマーやプレキャリは抗弾プレートやソフトアーマーをキャリーするためのもの、という理解のされ方です。

ベルトキットがなぜファーストラインでないのかは上記の理由から明白です。
ベルトキットもベストもチェストリグもそもそも同じ働きをするロードキャリアーなのです。




話が逸れますがベルトをファーストラインへ分類する理屈は、プレキャリやアーマーに対してリスクレベルが一段下がる、という考え方に起因しているようです。
つまりプレキャリやアーマーが必要でない状況や緊急時にそれらを投棄しなければならない状況でも最低限身を守れる装備品をベルトにまとめ、ファーストラインとして分類しておくべきだという発想です。
これはこれで合理的なのかもしれませんがドイツ語圏ではあまり見られません。ロードキャリアーはロードキャリアーとして分類すべきという考え方のほうが明瞭で分かりやすいからでしょう。

(他、ファーストラインは任務によらず常に固定の装備、セカンドラインは任務に応じて変更する装備という捉え方も世の中にはありますがドイツ語圏ではやはり見かけません)






・3rd Line

サードラインは「運搬能力の拡張」であり「戦場である程度長期の活動を維持するための機器」です。

いわゆる背負いもの、リュックやパックと呼ばれる類のものです。
SEM70やPRC117などの大型携行無線機、大型のメディックパックもここに分類されます。

また寝袋や調理器具など戦場での衣食住を支える器機も含まれます。

とにかくセカンドラインに入りきらないものはこっち、という感じですね。









・中間的なもの

なかにはイマイチ分類しづらい品物もあります。

例えばプレキャリに接続するモジュラーバックパックはセカンドラインなのかサードラインなのか実に曖昧なところです。

医療品は、IFAKのような個人的用のものであればファーストライン(衣服)のポケットに収納可能ですし、セカンドライン(ベストやアーマーのポーチ)に入れても良いわけです。
さらに分隊用のものであればサードライン(メディックパック)となるわけですが、このように運用形態によって階層が異なってしまうのは何かと不便です。
医療品はそもそも「ギア」ではないのでライン分類の対象ではない、という意見も頷けます。(サバイバルキットについても同様のことが言えます)

問題は「なに」を「どこ」に収納するかであり、収納したいものと収納すべき場所を混同するべきではありません。
(ファーストラインである衣服にポケットが付いているから、ベストやチェストリグと同じロードキャリアーの類であると捉えるのは少々無理があります)







ようするに

込み入った話になってきましたがようするに、

 1.服を着て
 2.装備を付けて
 3.バックパックを背負う

という重ね着を示すものだと理解してしまえばよいのです。

実際ここで示す「ライン」と「レイヤー」の概念はよく似通っています。

また武器や医療品については別の次元にあり、各ラインには分類しえないと理解しても差し支えはないでしょう。






定義に関わらずLines of Gearは装備を構築するにあたって重要な指標となります。

各ラインの役割と思想を理解できるようになると装備のまとまりもずっと良くなりますし、フォトの観察にも役立ちます。


見た目からスタイリングに入るのも手っ取り早くてお得ではありますが、装備を研究する立場としては「各装備品にそれぞれ目的を与えることで、はじめてそのスタイリングに行き着くのだ」というプロセスは大事にしていきたいですね。




Tschüs!!





参考
STRATEGIE & TECHNIK :ドイツ語ソース、ファーストラインに武器を分類する考え方が紹介されています。

PhotoBW :ミリフォトで見られる装備が各ラインごとに分類されているお馴染みのサイト。

HANDWFFEN UND PANZERABWEHRHANDWAFFEN DIE BUNDESWEHR (書籍) :BWの武器解説本ですが装備品の構成に言及した項があります。

EYES ON TARGET (書籍) :Fernspäher解説本でライン構成について言及しています。こちらではファーストラインに武器とサバイバルキット等を分類する考え方となっています。

  
タグ :装備

Posted by Nekotin at 21:07Comments(0)考察

2020年05月24日

Battle Display Kit List 01

 普段は買い物記事ばかりで体系的に装備を扱うことはあまりないこのブログ。

 自分にとっての装備の情報整理を兼ねて、特定の部隊を想定したアイテムを並べてみたいと思います。

 今回のテーマは2013年前後の「3./FschJgBtl261」としましょう。 EGB中隊ですね。
 
 脳内ではバッチリ仕上がっているんですが実際に引っ張り出してみると……




 装具関係から見ていきましょう。

 当然ミッションによって選定される装備品は異なるのですが、「市街地攻撃戦術(Urbane Angriffstaktik)」を主眼としました。

 建物から建物への近接戦闘や室内戦闘(Häuserkampf)がメインですので、プレキャリとヘルメットを軸とした抗弾装備です。


 プレキャリの構成は次の通り。

  LHT LT025 Gen.III……プレートキャリア
  LHT LT001 Gen.II……ダブルマガジンポーチ
  LHT LT017 Gen.II……ラジオポーチ
  LHT LT056 Gen.II……ダンプポーチ
  LHT LT021 Gen.I……ユーティリティポーチ

 
 プレキャリはLHT Gen.IIIで。年代的にはGen.IVでもOKです。
 
 マガジンポーチは2連結で入れてもよし、1本ずつ入れてもよし、という柔軟性からダブルタイプに。

 というかプレキャリと一緒に支給されるのがこのダブルマグポなので必然的なものなんですが。

 このマグポーチ、同時期のEGBを見るにGen.IIでもGen.IIIでもOKな様子。年代のイメージ的にはGen.IVのほうがもっともらしいかも。

 (というところで思い出した、このプレキャリFschJgBtl313用に組んだヤツだ……)



 分隊長や副分隊長を想定しているので無線機(SEM52SL)を携行します。
 
 これも分隊に支給されたキットからLT017型ラジオポーチをレイアウト。


 ダンプポーチもユーティリティポーチもよく見るタイプです。これもキットに入っているものでしょう。

 
 全体的に変化球は抑え気味に、無難にまとめてみました。










 前述の通り分隊長/副分隊長を想定しますので無線関連機器を一通り。
 
 無線機本体はSEM52SLです。分隊長と副分隊長で2つの班(Trupp)に分かれますのでそれぞれ携行しないといけないんですね。

 アンテナは個人的な感性で0.9mアンテナをチョイス。0.4mアンテナでもOKです。

 0.9mアンテナと0.4mアンテナではキットの形態が異なるのですがどちらも見られますね。


 PTTはペルターのNF10コネクタ対応型。並列配線タイプが望ましいのでその通りに。


 ヘッドセットはコムタックXPで、マイクはMT7としました。MT31マイクの方が多く見られますが組み換えが面倒だったので。MT7も使用例がないわけではありません。

 コムタックXPの金字のマーキングも2パターンありますがどちらもOK。BW全体で混在しています。


 FschJgBtl261の場合無線機持ちの分隊長/副分隊長以外の隊員はイヤマフとしてのXP(通信機能なし)を着用しています。

 FschJgBtl263だと全員通信機能付きだったりもするんですが、コムタックについては大隊によって調達が異なるといえます。










 ユーティリティポーチの中身はこんな感じに。

 隊長格なのでナビゲーション器機は必要です。作戦用のマップや補助のコンパスも用意したいところ。

 交換用の電池は作戦時間を加味してもっと増やしてもいいと思います(種類も)。

 ITWの笛、ストロボ、紐付きIRサイリウムは合図用や非常用として。

 フラッシュライトは室内など薄暗い場所のサーチ用ですが、これはG36マグポの脇に付けたピストルマグポに入れた方が良いかも。

 ポーチのパルステープに突っ込んでいるのはキャプチャ用のハンドカフ。

 カラビナも多目的に使えますので引掛けておきます。サバイバルキットに含まれている紐と組み合わせれば即席で何かを留める道具になります。


 個人の役割に応じてグレネード(DM51)、スモーク(DM25/DM32)、フラッシュバンなどの弾薬も付加されますが、この例では想定していません。

 









 背面にはソースのハイドレーション。隊員の役割によってSEM70を背負ったりブリーチングツールを背負ったりと個性が出るのが背面。

 ハイドレーションはその人の必要性によりけりですが、ISAF派遣に参加した際に支給されたアイテムを本国でも使い続ける、みたいな要素が欲しかったので。

 3./261も07年のコンバットレディ以降08年、09年、11年とアフガニスタンに派遣されています。











 ベルト周りです。主にP8のレッグホルスターを吊るためですが、細々としたポーチを付加できるのでいろいろ活きてきます。

 BHIのホルスターは教導過程で支給されたと考えられるODのものを。


 ピストルマグポーチはFschJgBtl261のEGBでたびたび見られるイーグルのFBタイプです。

 イーグル製のものを用意しましたがBHIにも同型があるので、ホルスターに合わせてBHIで揃えた方が自然なのかもしれません。










 ワルサーのフォールディングナイフはツールとして。タイラップじゃないと付かないかな。

 仰々しいKM2000は使いどころを選びますが、アクセントを加えるためにチョイス。











 プレキャリに余裕がないのでファーストエイドポーチはベルトに装着することにします。
 
 ポーチは13年頃から見られるLHTのLT012型を起用します。

 中身はEEH-Aキットなど最も基本的なものでよいと思われます(画像では適当ですが)。

 CAT(止血帯)はプレキャリの表面など分かりやすい部分にあれば良さそうです。











 その他の装着品です。グローブは個人差が大きいのでメジャーどころからオーパーツにならないものを選定。

 腕時計も個人差はありますがよく見られるSUUNTO VECTORを。

 Revision Sawflyはある年代からよく見られるようになりますので、ほとんどこれ一択になりますね。

 ゴーグルだとRevision Desert Locustも。










 想定した年代でよく見られるのはMSA TC3000ですが、それらが支給される以前からTC2000などが用いられていたと考えられます。

 その点を利用したアクセントとして、ISAF派遣のために個人購入したTC2000を本国でも使用、といったストーリーを付加していきます。

 夜間の行動を想定しているのでLUCIEも加えましょう。マウントにはスペーサとして乾電池を挟みます。

 識別用のIRサイリウムは頭頂部にパンツァーテープで留めることにします。

 








 武装はG36KA2で、EOTech552とLLM01をマウントするにとどめます。スリングは当たり障りのない官給品。

 この時代のEGB中隊の武装ならこれだけでOKです。

 P8もライトモジュールなどは使わず素の状態で。










 被服関係です。上衣(ブルーゼ)はLeo KöhlerのKommando Feldbluse、個人購入か部隊購入なんでしょう。

 下衣(ホーゼ)は官給のEinsatzkampfhoseで、EGB中隊の被服としては一般的な組み合わせに。










 ホーゼのベルトはYatesのコブラバックルタイプを。ヘリによる空中機動展開任務であればランヤードも付加できます。










 このほかブルーゼとしては官給のスタンダードタイプやEinsatzkampfbluseも適用できます。









 環境に応じてブルーゼの下に着込みます。寒冷地でもプレキャリの下にスモックやシェルジャケットを羽織るというのはあまり見られませんのでここでは支給品に含まれるウールパワーを選びました。

 ブルーゼの襟元から見えるとかっこいいんですよね。








 以下参考フォト



 Cold Response 2014より。コムタックXPの機能の違いが分かる画像。頭頂部のIRサイリウムも特徴的です。

 左のスプリッター柄のヘルメットの隊員はよく見る隊長格の人で、今回のキットでも多々参考にしました。










 同じくCold Response 2014より。ベルト周りが分かります。FBタイプのピストルマグポも見られます。

 Serpa付属のパドルも興味深い使用例です。

 G36マグポーチはやっぱりGen.IVがよかったか……









 Colibri 2013より。左の隊員のソースのハイドレはどちらかというとレアな例ですね。ベルトにはワルサーのナイフケースが。









 同じくColibri 2013より。こちらでも頭頂部のIRサイリウムが見られます。









 ILÜ 2013のデモンストレーションから。この画像でEGB中隊特有の特殊部隊になりきらない独特の雰囲気が分かっていただけるかと。







 以下反省点

 ・実はFschJgBtl261/263(EGB)用にGen.IVプレキャリで組んだセットがあったんです。G36マグポもGen.IVなのでそっちを起用した方が良かったですね。

 ・小物の用途をもっとはっきりさせた方が良かったですね。これはリサーチして情報を掘り下げなくては。

 ・ファーストエイドの中身もきちんとそれらしく揃えないといけません。EGBだとCFR系キットから応急用品が追加されているかも。






 装備を広げるだけとはいえ存外カロリーを使う作業でしたが、また機会があればキットを展開してみたいと思います。



 Tschüs!!  
タグ :EGBFschJgBtl261

Posted by Nekotin at 18:02Comments(0)考察

2019年05月29日

掩体壕と塹壕


MVG2019に向けてのメモとして記します。

BWで運用されるKampfstand(戦闘用掩体壕)とKampfgraben (戦闘用塹壕)についてです。
(参考ZDv3/11)




上図は小火器運用のためのオープンタイプのKampfstand(戦闘用掩体壕)を示しています。
これは二人向けの掩体壕で一方向、あるいは複数の方向に対して武器を向けることが出来ます。
警戒用のAlarmposten(アラームポスト)などもそうですが、二人一組での行動が原則です。

(上側の図は断面図、中央の図は平面図、下側の図は俯瞰図と武器を向ける方向を示す)

掩体壕の深さは基本的に150cmで幅は60cmとなっています。
掩体壕の前後50cmは深さ20cmのEllenbogenauflage(肘置き)となっておりここで各種小火器を扱います。
MGを設置するためのピットはさらに前方に突き出しています。
Alarmposten(アラームポスト)もKampfstand(戦闘用掩体壕)として機能させることが出来ますので、こうした形をとったうえでMGを設置することもあります。

Panzerfaust用のKampfstand(戦闘用掩体壕)にはEllenbogenauflage(肘置き)はありません。
PzFstの射手はバックブラストを逃がすための空間をつくるため高めに立つ必要があります。


Unterschlupfは退避スペースで、一人か二人分ほどの安全を保障するものです。
木の板などで補強されており、コマンドポストとして使うことが出来ます。









上図に示すカバータイプの掩体壕は少なくとも40cmの厚みを持つ「屋根」で守られています。
野戦砲や迫撃砲の爆風・破片、化学兵器や核から身を守るためです。



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上図はKampfgraben (戦闘用塹壕)の平面図および各部断面図です。
戦闘用の塹壕はKampfstand(戦闘用掩体壕)とGraben(通路としての塹壕)、Unterschlupf(退避スペース)などから構成されています。

1がUnterschlupf(退避スペース)
2がKampfstand(戦闘用掩体壕)
3がEllenbogenauflage(肘置き)
4がoffener Graben(開かれた通路)
5がkleiner Unterstand (小さな避難スペース)
6がüberdeckter Kampfstand (カバータイプの戦闘用塹壕)
7がabgedeckter Graben (カバータイプの通路)

このようにオープンスペースとカバースペースを組み合わせて塹壕を構築していることが分かります。


また、塹壕構築において排水性の確保は大きな課題です。
排水溝をつくるか排水用の穴を設け、水を浸み込ませたり掬い出したりできるようにします。
これらの排水穴に木の枝などで格子を設ける場合もあります(つまずき防止?)。



随時追記の予定(?)
  

Posted by Nekotin at 21:44Comments(0)考察