2015年11月20日

ポケットを叩くとコンドームとタンポンが2つ



スモック(Kampfjacke)のポケットには何を入れる?


ポケットの中に詰まっているものが夢や希望とは限らない。

例えば任務を遂行するための作戦機材であったり、
ロングトレッキングのためのキャンピンググッズであったり、
過酷な社会を生き延びるためのサバイバルグッズであったり。


今回はスモックのポケットに収納するアイテムをご紹介。



(書籍情報やPDF資料を基に作成)

ポケットを叩くとコンドームとタンポンが2つ
↑これはBWでよく見られるEinsatzkampfjackeのデザインを簡単な図にしたものです。

※もしこれがスモックに見えなかったとしてもなるべくそう思い込むようにしましょう。


表面上に11個のポケットがあるのに加え、両胸の裏にそれぞれ内ポケットが備わっています。



それではポケットの内容物を番号順に見てみましょう。





①右上腕ポケット:止血帯
②左上腕ポケット:経口/経鼻エアウェイ、耳栓

圧縮包帯等かさばる医療品は基本的にズボンの左カーゴポケットに収納されるものと思いますが、
止血帯とエアウェイはすぐ取り出せる位置に収納されていますね。
胴回りのポケットだとベストを羽織った際に取り出しにくくなりますし、レッグプラットフォーム着用時にはズボンのカーゴポケットも阻害されるためでしょうか。
左側ポケットに赤十字が描かれているフォトも度々目にします。


③右胸ポケット:マグネシウムファイアスターター、ポケットランプ、ライター、タンポン2個、ワイヤー、帯鋸、プラ箱入りの剃刀の刃、
IRサイリウム
④左胸ポケット:非常用寝袋、コンドーム、薬

ポケットを叩くとコンドームとタンポンが2つ
↑特殊部隊向けサバイバルキットに含まれるマグネシウムファイアスターター

ポケットを叩くとコンドームとタンポンが2つ
↑こちらは一般向け(?)キットのファイアスターター

ポケットを叩くとコンドームとタンポンが2つ
↑一般向けキットのタンポン。

ポケットを叩くとコンドームとタンポンが2つ
↑特殊向けキットのチェーンソー(帯鋸)

ポケットを叩くとコンドームとタンポンが2つ
↑非常用寝袋。


なんのこっちゃな感じですが保温性に優れたぎんぎらぎんシートで出来た寝袋。
IFAKなどには負傷者の保温のため非常用毛布(Rettungsdecke)という名のシートが含まれていたりしますがその寝袋版です。


ポケットを叩くとコンドームとタンポンが2つ
↑ついでに特殊向けキットに含まれる非常用毛布。

ポケットを叩くとコンドームとタンポンが2つ
↑一般向けキットのコンドーム。なににつかうんだろうね……




⑤右ナポレオンポケット※:身分証、予防接種記録
⑥左ナポレオンポケット:マップ、コンパス、筆記具

(※ジッパーが縦に配置されたポケット。左右胸ポケットの背後に収納スペースがある)



⑦右前方サイドポケット:右手グローブ、マルチツール
⑧左前方サイドポケット:左手グローブ、ウールキャップ

グローブは左右別々に仕舞うのか、ちょっと不思議なようななんとなくわかるような。
マルチツールはBWならレザーマンが強いですね。EODキットに含まれている物もレザーマンですし。
特殊部隊やフェルンシュペアにはスーパーツール(旧モデル)が支給されていたようです。



⑨右サイドポケット:ホッカイロ、ろうそく、粘着テープ、ロープ、ソックス(防水パックに入れておく)
⑩左サイドポケット:ドーラン、シグナルミラー、携行食料、ブイヨンベース、浄水タブレット、調理キット、釣りキット


ポケットを叩くとコンドームとタンポンが2つ
↑戦地でもティータイムは欠かさない方向けの紅茶パック。

ではなくホッカイロ(Wärmekissen)。日本で見られるような化学反応を利用したものです。

ポケットを叩くとコンドームとタンポンが2つ
↑サバイバルキットに含まれる白い蝋燭。
いろいろ応用が利きそうです。

ポケットを叩くとコンドームとタンポンが2つ
↑一般向けキットに含まれるロープ、というか紐。


よくヘルカバーに通してある例の紐と同じものかと思います。
パラコード程度のサイズですね。一般向けキットの物は6mだそうで。


ポケットを叩くとコンドームとタンポンが2つ
↑特殊部隊向けキットのシグナルミラー。


あとは糧食関係ですね。浄水タブレットはフィルタリング前提なので簡易浄水器も携行していると思われます。


ポケットを叩くとコンドームとタンポンが2つ
↑簡易浄水器



釣りキットに関しては下図の簡易なものが用いられるようです。



ポケットを叩くとコンドームとタンポンが2つ
爆釣り
Einzelkämpferlehrgangでは魚を手掴みで捕える訓練もあったり。




⑪後部ポケット:ゴアテックスライナージャケット、ポンチョライナー、シュマグ

内ポケット※:輸液袋、ウォーターパック

(※これはスペースからして胸の内ポケットではなく、⑪の裏に位置するカンガルーポケットかも)






……………………

といった様な様子ですが、もちろん誰もがこんなフル装備をしているわけではないでしょう。

任務の性質上、ローンサバイバーなことになりかねない長距離偵察な人たちがこういった形態で運用していると考えられます。

最悪、ベストやバックパックを放棄してしまっても最低限のサバイバル能力が残されるといった様子ですね。


(ベストの方は弾薬の他、携帯無線機、水筒、LUCIE NVGなんかを収納)



スモックとベストだけでもかなり重たくなりそうなものですがさらに
偵察機器や通信機器が含まれたバックパックを背負うわけで……
やっぱり長距離偵察隊員はタフマッチョスーパーマンにしか勤まらないんだなぁと



流石にここまでこだわるのは難しいんじゃないのかーってとこで
Tschüs!!




タグ :スモック

同じカテゴリー(考察)の記事画像
ドイツ連邦軍のキャリアと階級
G36小ネタ
Lines of Gear
Battle Display Kit List 01
掩体壕と塹壕
EEH-BとFirst Responder
同じカテゴリー(考察)の記事
 ドイツ連邦軍のキャリアと階級 (2021-12-05 17:16)
 G36小ネタ (2021-09-17 21:16)
 Lines of Gear (2020-11-20 21:07)
 Battle Display Kit List 01 (2020-05-24 18:02)
 掩体壕と塹壕 (2019-05-29 21:44)
 EEH-BとFirst Responder (2019-04-17 19:21)
Posted by Nekotin at 21:25│Comments(2)考察
この記事へのコメント
きちんとポケットに入れるものまで統制されてるんですね。
考えてみれば、何かあったとき誰のポケットをあさっても同じ
ものが出てこなければ困るわけですから。

>一般向けキットのコンドーム。なににつかうんだろうね……
防水袋、靴下の中に入れて(靴下をカバーにする)水筒代用、
もし生きて帰れたらコレを使って大人の夜遊びをするんだ!
と、士気を維持する。
なんてのを読んだことがあります。

防水袋は太平洋戦争中、乗っていた船が沈没する際、時計など
をコンドームに入れてから海に飛び込んだという話も。

野暮かもしれませんが、コメントしました。
Posted by 都内在住 at 2015年11月20日 22:50
なるほど、防水性という利点を考慮するとかなり応用が効きそうなアイテムですね。
>もし生きて帰れたらコレを使って大人の夜遊びをするんだ!
>と、士気を維持する
士気を高めるためという観点も興味深いです…

コメントありがとうございます。
今後もどうぞよろしくお願いします。
Posted by NekotinNekotin at 2015年11月21日 13:37
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。